カルビーのポテチの袋から色が消える?!「白黒パッケージ」から考える色彩戦略と消費者の心の動かし方

名古屋の利益率アップコンサルタントの渡辺です。

さて、今日の話題は見てびっくりのネットで流れてきた「カルビーがポテトチップスの袋の色をなくす」というニュースから。
私がこの記事を読んで、「これは!」と直感的に感じたニュースがこちらです。
[白黒になったポテトチップスは、なぜ気になるのか―消費者心理を揺さぶるパッケージの力]

 

最初は何かの冗談かと思いましたが、期間限定でパッケージを白黒にするという攻めた企画だそうです。

驚いたのは、元々カラーコンサルタントをしていた私から見ると食料品のパッケージデザインは普通「温かみがある暖色系(赤~黄色)」「味を想起させる色」「気持ちが高揚する(ワクワクする)色」を使うのが色彩計画のセオリーだったから。

パッケージの色が購買意欲に関わることをみんな知っているから「パッケージ戦争」が起きることになるのにモノクロって?!販売戦略的に大丈夫?

そして長年見慣れた「ポテトチップス=あの賑やかなオレンジ色」という常識(刷り込み)があるからこそ、それを手放す違和感に思わず手が止まりました。

これに対してネットではいろんな意見が交錯しています。

ネットも困惑!?「印刷ミス」を疑うレベルの違和感がすごい

ネットでは『何!?』『インク代の節約?(笑)』なんて声も。
そう、みんなナフサ調達難を受けてのことだと思い、いきなり注目!!

・これは、このタイミングに乗じて話題を提供して売上アップを狙ってるな。
・やっぱりナフサないんだ!
・かえって目立っていいんじゃない?
・カルビーって、実は会社が儲かってないんじゃないの?
・自社の経営責任を、戦争にすり替えてるんじゃない?
・農家のことを考えると出荷が止められないからここで経費を減らすのはすごくいい企業努力だ!
・戦争の(不安な)イメージしかない

と賛否両論。。。

とまあ、世間はいろいろ騒いでいるけれど、経営の視点で見ればやっぱり体のいいコストカットの一環に見えますよね。←正直、顧客側に直接のメリットはないわけだから。

じゃあ、じゃあ、なぜカルビーはあえて戦略的に「白黒」を選んだのか。
カルビーの公式サイト([プレスリリース])を覗いてみると、そこには切実な背景がありました。

あえて色を捨てたワケ。カルビーが仕掛ける「色彩情報の断捨離」

中東情勢の緊迫化に伴う一部原材料の調達不安定化を受け、商品の安定供給を最優先とする観点から、当面の対応策として一部商品のパッケージ仕様を見直します。
とのこと。

実はこれ、冗談でもなく無印みたいなオシャレ戦略でもなくて、中東情勢による「インクの原料不足(ナフサ不足)」が原因なんだとか。
会社としては「供給を止めないための苦肉の策」という、かなり切実な事情があるようです。

でも、ここからがマーケティングの面白いところで、「頑張ってきましたがインクが足りなくなってきたので色が薄くなります」とか「色数を減らします」というネガティブなメッセージを送るのではなく、一気に「最低限の情報に絞る」「外側ではなく中身に価値がある」というポジティブな価値観の表現に変換して見せました。

このピンチを将来的な「欠品リスク」で終わらせず、「今しか見られない特別な体験」に変えてしまったんです。
もうこれだけネット民が騒くんだから、これはその意味では大成功でしょう。

この「マイナスをプラスに見せる編集力」こそ、私たち中小企業の経営者も見習いたいポイントですよね。

脳を飽きさせない「削る美学」。モノクロ戦略が2度美味しいワケ

白黒パッケージのポテトチップス

※画像はイメージですが、実際のお店でもこんな違和感が並んでいます

私が今回の件でカラーマーケティング的に「うまいな」と思ったのは、このモノクロ化がずっと続くわけではなく、期間限定の「変化」ならば二度おいしくなるかも?という視点です。

つまり、今回ネット民もこの大胆な変化に沸いています。
これだけ反響があれば、みんな店頭に写真を撮りに行くでしょう(笑
新製品でもないのに「ただでPR」できちゃう・・・んー広告代理店入ってそうですけど(笑

それに消費者の心理って、実はけっこう気まぐれ。
白黒になった瞬間に「何これ!面白い!」という感情でトレンドセッターはまず買いますよね。
あとSNSで収入得てる人とかね。

でも、基本的に「白黒」は感情が動かない色なので、これが長期的に続けばいつかは「飽き」がくるし、売り場で他社商品の背景色になってしまうリスクも。
あと、色って他の五感と連動していないと売れないから、従来の消費まで冷え込む可能性もある。

そこで、時期が来たらまた元のカラーに戻す。
すると、今度は「やっぱりポテチはこれだよね!」という安心感で、また手が伸びてしまう。
今度は本当に喜んでいただけることでしょう!

つまり、「変える時」と「戻す時」で、2回もお客様の感情を揺さぶるチャンスがあると思ったんです。
そう、そして物が売れるのは、感情が動いた時。←テストに出ます
この「削る美学」こそが、2度美味しく売るための戦略の肝。
と私は思っちゃったんですよね。

ずっと同じでいることが「安定」だと思いがちですが、あえて一度崩してみることで、自社の「当たり前」の価値を再認識してもらう。

厳しい時期に乗じたピンチをチャンスに変える古い商品のうまいテコ入れだったとしたら?
これって、私たち中小企業のサービスでも応用できそうですよね。

「白黒」の裏に潜む、中小企業が真似すべき「生存戦略」

こうした実例は、コスト管理に悩む私たち中小企業にとっても大きなヒントになりますよね。

今回のカルビーのように、世の中の流れや「大義名分」を使って、経営が厳しい中で「印刷の色数を減らしてコストダウンする」とか、このタイミングを機に「付加価値を再定義して価格を改定する」といった動きをする会社も出てくるはずです。(食品業界追随してますよね)

もちろん、安易な便乗をおすすめするわけではありません。
でも、「日ごろ値上げが言い出せなくて苦労している」「コストを削りたいけれどブランドイメージが崩れるのが怖い」という経営者の方にとっては、こうした世の中の「違和感」や「変化」を味方につけるのは、一つの大きなチャンス(転換点)になるかもしれませんね。

あなたの会社でも今できることはないでしょうか?

これから白黒パッケージに変える企業はたくさん出てくると思います。
それだけでなく、様々な企業が様々な手を打ってくるでしょう。
それらを見ていると何か参考になることがあるかもしれませんよ。

だって、インクを減らすことはできなくても、「そういうことをしてもいいんだ」と自分に許可を出せるようになること。 値上げ、取引先の再選定、工程のカット……。
今まで「無理」だと思い込んでいたことを見直すだけでも、すごい一歩だと思うんですよ。

不透明な時代をただ怖がるのではなく、今だからこそできること、一緒に見直してみませんか?